No.13「排泄ケア」のポイントは心配り
~適切な排泄ケア用品で高齢者をサポート〜
排泄ケアの重要性
「排泄」は、日々繰り返し行われる日常的な行為です。しかし、加齢に伴う衰えにより、当たり前のようにできていた排泄が、うまく行えなくなることは不思議ではありません。その際に「排泄ケア」が必要となってくるのですが、排泄行為は人間の尊厳に関わる大変デリケートな行為。だからこそ「排泄ケア」は非常に難しいケアであると言われています。今回は、介護する側とされる側の双方が気持ちよく暮らしていくための「排泄ケア」のポイントについて、ご紹介いたします。
排泄ケアのポイントとは
本来であれば、「排泄」は自分ひとりで行うものです。排泄を自立して行うには、まずトイレに行きたいと感じる「便意・尿意」が表れ、そしてトイレに行くために立ち上がり、移動。そこで衣服を脱ぎ、便座へと座る動きをします。こうした一連の動作に、一つでも不安なところがあるとトイレでの排泄が難しくなります。そうはいっても、失禁するようになった自分を認めたくない気持ちは、誰にでもあるものです。「失禁を人に知られたくない」「オムツをするのは辛い」……そうした本人の思いもくみ取るように注意しましょう。言葉のかけ方にも配慮しながら、自尊心を保てるように心がけてください。
介護する側にとっても、排泄ケアはストレスが生じやすい介護の一つです。トイレの付き添い介助、失禁等による掃除・洗濯・衣類交換とやることが多く、また臭いの問題もあります。そのため、家族の介護負担についても十分に考えることが必要です。とはいえ、家族だけで介助していくのは大変なことです。介護保険などを活用して、専門家のアドバイスやサポートを取り入れていくことが、本人にとっても、家族にとっても大切だということを忘れないでください。
排泄のための環境を整える
自分ひとりの力で排泄をすることは、人間が自尊心を持って生活するための基本と言えます。そのためにも安全で快適なトイレ空間づくりは、自宅介護の重要なポイントです。トイレが遠い、廊下が暗い、便器が使いにくいなど、様々な要素が失禁につながる理由となることもあります。明かりを消さないようにしたり、便器を使いやすいものに取り替えたり、介護される方の体の状態に合わせた、使いやすい環境づくりをしていきましょう。
トイレまで移動できる場合
たとえ時間がかかっても、自分で歩ける場合や介助があれば移動できる方は、できる限り普通のトイレを使うようにしましょう。「自分の力でトイレに行きたい」という気持ちを尊重することが大切です。また、トイレまでの移動や衣服の脱ぎ履き、便座への立ち座りといった動作が運動機能の維持にもつながります。トイレの室内に手すりを設置すると、便器への立ち座りがスムーズにできるようになり、家族の介助負担が軽減できるかもしれません。その人の体型や状態に適した、排泄ケア用品・用具を活用していきましょう。
『トイレサポート』
トイレ室内に置くだけで使用できる手すりです。便器の前に据え置く構造で、便器の形状や材質の影響を受けずに様々なトイレ環境で使用可能。ひじ掛けの内寸や高さも調節できるため、トイレ環境や高齢者の身体状況に応じて調整できます。
トイレまで移動できない場合
起き上がることができてもトイレまで移動できない方には、持ち運び可能で、室内に設置可能なポータブルトイレを上手に利用しましょう。歩行が不安定な方や夜間にトイレの回数が多い方など、トイレまでの移動が難しい際に、ベッドの近くに設置して使用します。お手入れがしやすい樹脂製タイプや寝室においても違和感のない家具タイプがあり、脱臭機能付きや排泄物をラップで密封して処理をしやすくする機能を有したものなど、様々なタイプがあります。
『ポータブルトイレ』
室内に設置するだけで排泄可能なポータブルトイレです。写真のポータブルトイレ「ジャスピタ」は、「ドルフィンカット」という形状を採用することで、理想的な排泄姿勢に誘導し、尿こぼれを防止します。着脱式の受け板と汚水受けで簡単にお手入れができるため、後処理の介助負担も軽減します。
ベッドで排泄する場合
尿意や便意はあるものの、ベッドから起き上がることが困難な場合は、尿器や差し込み便器を使用しましょう。自尊心を保つために自分で尿器を持ってもらうなど、自分でできることは本人にやってもらうようにしましょう。