
No.6今からはじめる高齢者のインフルエンザ対策
~インフルエンザの感染経路と予防対策〜
高齢者のインフルエンザは要注意!
暑かった夏も終わり、気づけば冬の足音が聞こえてきそうな季節になってきました。激しい寒暖差に体調を崩してなどいないでしょうか。新型コロナウイルスとともにこの時期に気をつける必要があるのがインフルエンザです。インフルエンザは秋から冬にかけて流行する感染症で、毎年多くの感染者が発生して大きな問題となってきました。
今年は新型コロナウイルスの感染予防による衛生意識の高まりもあり、例年よりもインフルエンザの患者数は大幅に減っているというニュースもありました。しかし、高齢者や慢性疾患を持つ方がインフルエンザに感染すると肺炎や重症化するおそれがあるので、しっかり対策を行っていく必要があります。

入院患者の半数以上が高齢者という怖い現実
あるデータによると、インフルエンザの年齢別入院患者数は80歳以上が最も多く、37.3%でした。70歳~79歳の17.7%、60歳~69歳の7.9%と足せば、60歳以上の高齢者が入院患者の半数以上を占めていることが分かります。やはり、高齢者は免疫力が低下していることもあり、重症化しやすい傾向がうかがえます。

インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと風邪は、のどの痛みや咳(せき)などよく似た症状もありますが、全く別の病気です。風邪はのどの痛み、鼻汁、くしゃみ、咳など呼吸器系に症状が出るのに加え、発熱もインフルエンザほど高熱とならず、重症化することはあまりありません。一方、インフルエンザでは、咳やのどの痛みなどの局所症状に加えて、38度以上の発熱、全身の倦怠感などの全身症状が強くあり、頭痛や関節痛・筋肉痛など呼吸器以外の症状を伴います。

インフルエンザの感染経路
インフルエンザウイルスの感染経路は2つ。1つ目は飛沫(ひまつ)による感染で、感染者の咳やくしゃみから飛ぶ「飛沫」が、非感染者の呼吸器や目の粘膜などに侵入して感染するケース。2つ目は接触による感染で、ドアノブや電車のつり革などウイルスが付着したものに触れた手で口や鼻などの粘膜に触れることでウイルスが侵入して感染するケースです。
次にこれら感染経路からウイルスの侵入を防ぐ対策についてご紹介します。

感染しない、広げないために“今からできる5つの対策”
(1)手洗いやアルコール消毒の習慣化
外出先から帰宅した後、食事の前や、調理前などはしっかりと手を洗いましょう。毎日の手洗いで付着したウイルスを洗い落とすことや、アルコール製剤による手指の消毒もインフルエンザウイルスの感染予防に対して有効です。

(2)流行する前に予防接種を受けましょう
流行する前にインフルエンザワクチンを打つことで、発病の可能性を減らせるうえに、もし発病しても重症化の予防が期待できます。ただし、ワクチンを打っていても絶対にインフルエンザを発病しないということではないので、注意が必要です。
インフルエンザワクチンは自治体により実施期間や費用が異なります。2020年度は自治体によっては65歳以上の方などを対象としてインフルエンザ予防接種の助成がありますので、お住まいの市区町村ホームページなどをチェックしてください。

(3)十分な休養とバランスのとれた栄養
インフルエンザは免疫力が弱っていると、感染しやすくなります。普段から「十分な睡眠」と「バランスのよい食事」を取ることが大切です。また「適度な運動」も免疫力を高めるのに役立つので、暮らしのなかに取り入れるとよいでしょう。

(4)適度な湿度を保ちましょう
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるとされています。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つとよいでしょう。

(5)咳エチケットやマスクの着用
インフルエンザは、咳やくしゃみの際に口から発生する小さな水滴(飛沫)によって感染します(飛沫感染)。特に周囲に人がいる場所では咳エチケットを心がけるようにしてください。また新型コロナウイルスの予防と同様に、マスクの着用も予防策の1つです。マスクの着用は、感染していた場合の飛沫を防ぎ、周囲の人への感染を防ぐと言われています。

これからインフルエンザ流行の時期を迎えるにあたり、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時感染が危惧されます。ほかにもノロウイルスなど、これからの季節はもともと免疫力の低下している高齢者にとってはさまざまな感染症に気をつける必要があります。
その他の感染症対策についてもご紹介しておきます。詳しくはこちらからご覧ください。